店長story 27 《破産》

更新日:2020.08.01

〇前回までの店長story 26はこちら

2013年3月

札幌から弁護士「歩く憲法」が
一人やってきて、破産に向けての
説明をしてくれました。

歩く憲法・・・男性
肌ツヤからしてたぶん
20代後半~30代前半

初登場は店長story 5 こちら

姿勢よく正座して
丁寧に書類を広げました。

相変わらずの堅物っぷり♡

「どうぞぉ~」とお茶と
かぼちゃ団子を出しました。

団子はかぼちゃを茹でて潰して
片栗粉と混ぜて丸くした後
薄く伸ばしてフライパンで焼いたものです。

1つをぺろりと食べ
お茶も一気飲みでした。
(お腹空いてんだろうか。)

「かぼちゃ団子
もっといかがですか?」

「はい、頂きます。」

2つ目は口にくわえながら
書類に書き書き。。。

・・・どっちかに
   しなよっ!( ̄▽ ̄)

「歩く憲法」あまり人目を
 気にしないタイプの様です♡

私と母と黙って
その様子を見ていると
父と主人が部屋に
入ってきました。

破産手続きには
「歩く憲法」ではなく
函館の破産管財人の弁護士が
ついていろいろな業務をするそうです。

破産管財人は裁判所から選任されて
破産手続における財産の換価や
債権者への配当、免責判断の調査などの
重要な業務を遂行する専門家のようで
実務上は、地域の弁護士の中から
選任されるそうです。

「歩く憲法」が丁寧に私たち4人に
説明をしてくれました。

別の日
最後に残った従業員と
女性パート4名に給料を渡しました。

全員解雇しました。

これで本当に会社は
動かなくなります。

父と母は従業員達と
涙の別れをしていました。

それを見ても
もう感情は動きません。

今さらと言う気持ちと
責任取らずにここまで
ずるずると何もせずに
ここで泣いて悲しみや辛さを
表現することに疑問を感じます。

元々なのか、いろいろありすぎて
非情になったのか。

冷めている自分です。

その後、父は
破産管財人と裁判所へ出向き
管財人とのやり取りを数日やって
会社を閉鎖することとなりました。

やっと終わりました。

山の工場の窓は
全てベニヤ板で閉じられました。

裏山に続く階段を
一人で登りました。

登り切った先に
今まで見えていたものは

魚箱を積んで勢いよく
走りだす主人のトラックや

女性従業員たちや
中国人研修生たちの笑い声

従業員のお昼ご飯を忙しく作る母や
電話で笑ってばっかりいた父の姿です。

今、大きな建物だけが
取り残された敷地は

とても広く静かでした。

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次回の「店長story 28」
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店長STORY一覧は こちら

辛いことも多かったですが、
自分の人生の舵取りをする為に
必要な経験をたくさんしたと思います。

この店長STORYは
昔の暗い話ばかりが続きますが

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たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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