店長story37 《助人》

更新日:2022.05.27

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あんた、よそもんだから・・・

2013年

売れ筋商品の一つである「とろろ昆布」は他社で袋詰めをしてもらいながら販売していました。

在庫が少なくなってきたのを見計らい、ラベルと袋を渡して製造をお願いしていました。

固定費をかけないため、このやり方でしばらく営業を続け、支払いは信用がない為すべて前払いでした。

その後、前会社で働いていたパートさんが手伝ってくれることになり、その仕事をお願いしました。

しかし、その仕事だけでは月の給料は少ない為、毎日働ける会社へ移ることになり、、、。



人を雇うまでにはある一定の売上がないと支払いができないため、一人でやりくりをしていました。

また別な女性が働いてくれることになりました。



「これじゃあ、だめだべさ。」

その女性は厳しかったです。



サンプル商品を見せると、すぐにそれ以上のものを作ってきました。

「見た目が大事。どんなにいい商品でも見た目が悪かったら買う気になんないべさ。」


「私は絶対不良品を出さない。そのつもりでやってる。」

私の「いいあんばい」は彼女にとっては「不良品」でした。


そうして彼女が作って、私が売る。


毎回商品をきちっと作ってくれたので、私は安心して販売することができました。


彼女の作る商品のおかげで、信用が付いてきました。

その後見た目の良い袋に変え、ラベルもデザイナーさんにデザインしてもらったものを貼りました。

周りから「あちこちで商品を見るようになったね」、「いい商品だね」と言われるようになりました。

それから、5,6年たった頃、

彼女は私に言いました。


「最初は、やっても数か月だと思ってたんだわ。

あんた、よそもんだから。」


漁業組合の人や漁師さん、みんな、いかついしなぁ・・・。

私を見る目、みんな、目が笑ってない・・・。



「この田舎で、女一人で会社なんて続けられないと思ってた。」


自分がよそ者で相手にされないこと、冷ややかな目で見られていることもわかっていました。

田舎では他人同士が近く噂話が飛び交います。

ここで仕事をしていくにはそういったものに鈍感になる必要があり、迷いや不安が生じてもその自分を押し殺すことです。


「でもこんなに続いて。

わたしは、ずっとついていくから。」


彼女の気持ちが伝わってきました。


彼女と一緒に働き始めた頃はまだ会社の成長や発展よりかは、前の会社のようにゼロにならないことばかり考えていました。

でも、一緒に働く彼女と、二人で成し遂げている小さな仕事を繰り返すことで毎日の小さな成功に喜びを持てる自分でした。

だから、細く長く。

細い1本の糸を、ほつれないように、切れないように。


できるという事だけを考えて毎日続ける。




彼女は18歳の時にここ尾札部に嫁いで来て、今年(2022)で50年になります。

漁師の旦那さんと昆布漁を続け、長い間水産加工会社で働き、今は私の会社で働いてくれています。


彼女は強く逞しいです。

私の細い糸は丈夫です。

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たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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