店長story 15 《謝罪》

更新日:2019.07.20

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2012年12月25日

お局様と一緒に従業員全員分の
給料を用意しました。
お局様 過去ブログ

名前と金額を確かめながら
現金を給料袋に入れました。

主人は冷凍庫閉鎖に向け、
残っていたイカのトンビ(口)約15トンや
ベビー帆立半製品約3トン、
塩蔵昆布約5トンなどを取引先に
卸す準備をしていました。

そして午後1時、主人と二人で
山にある工場内の食堂へ向かいました。

そうです。

従業員達に会社を
やめてもらうお願いです。

20~30人の白衣を着た
従業員の女性たちの厳しい目が
こちらを睨みつけています。

言葉を選びながら、
主人は会社の「今」を話しました。

「・・・・・
そういった訳で会社を
続けていくことが
もうこれ以上できません。

皆さん、、、
申し訳ありませんでした。」

最後、涙を流し、土下座をする主人。
同じく左隣で土下座をする私。

従業員達達から
様々な質問がありました。

私は、事務的な事を
淡々と答えていました。

彼女達が一番
聞きたかったことはきっと、

どうして社長じゃないの?

どうして奥さんじゃなく
常務(主人)と嫁さんなの?

だったと思います。

さらに

「なんでおまえなんだよ。
南茅部に来て、3、4年の
おまえが会社を潰したんだろ。」

私の被害妄想かもしれませんが、
たぶんそんな風に思っている人も
いたと思います。

そんな声が彼女達の
表情から伝わってきました。

あぁ、どうして私と主人が
土下座してんだろう。

どうして何十年も会社をやってきた
父と母がここにいないんだろう。

社長である父の言葉で
説明をしてもらい、
謝罪するのが道理であって、
それが社長としての
最後の務めではないのでしょうか。

体調が悪いから。。。

何を言っていいか
わからないから。。。

会わす顔がないから。。。

そんなことで、
この修羅場に登場しないなんて

、、、ずるい。

「なにもかも、すみません。
生活をする術を奪ってすみません。
こんな私たち経営者で
すみませんでした。」

ひたすら主人と謝り続けました。。。

主人は隣でずっと頭を下げたまま
震えながら泣いています。


・・
・・・

大学を卒業してから
東京の築地で9年

北海道八雲町の
水産加工会社で1年

合計10年の間

主人はリ丁能戸水産を
引き継ぐために修行をしてきました。

東京の薄汚い工場地区の
6人のたこ部屋(社員寮)
から生活を始め

鮮魚・魚卵・マグロ課と
上司や先輩に仕事を教えてもらい

いつか父と一緒に
仕事をするために

忙しい父を少しでも
楽をさせるために

厳しい市場の男社会の中で
逃げ出さずにやってきました。

・・・
・・

主人の悔しい気持ちが
伝わってきました。

なんとかしないと、
なんとかしないと。

絶対、だめだよ、こんなの。

報われないじゃないか、主人が。

今まで頑張ってきたから
今この瞬間も頑張れ。

一緒にこれからも頑張ろう。

大丈夫、大丈夫、

これからも何とかなる。

横から主人にそんな「気?」を
送っていましたが、
でも、この場からすぐに
逃げ出したかったです、私。

私も一緒に泣いてしまおうか。

若い夫婦も大変なんだろうと
情けをもらおうか。

でも、そうしてしまったら、
泣いてしまったら、

逃げたみたいで、
可愛そうな人をアピールする
みたいで嫌だと思いました。

自分の辛い涙を盾に、
従業員からの暴言を避け
弱い自分を演じ、
どうしようもなかったと
言い訳するようなことは
したくないと思いました。

ここで泣いたら、すべて本当に
終わってしまうような
なにもかも諦めて腑抜けに
なってしまいそうで怖かったです。

ここで逃げたら、これから
一生借金生活に苦しみながら
出口の見えない暗い人生に
なりそうで怖かったです。

自分は何もできていないし
これから何ができるかと言われても
答えることは出来ません。

今は、ただ、謝るだけです。

従業員達の中には
泣いている人も数名いました。

・・・自分、今
土下座してんなぁ。

この光景を天井から眺めている
もう一人の自分がいます。

土下座ってドラマの世界
だけかと思っていました。

自分の人生の中でも
土下座ってあったんだな。

たぶん、この光景は
一生忘れないと思います。

数十人いる従業員達の
次の仕事先は用意していました。
南茅部地区で同じく水産加工業を
している会社社長に既に
引き受けをお願いしてありました。

そう、あの社長です。

口は悪いですが、私たちの今後を
一緒に考えてくれていました。

今日はクリスマスでした。

子ども達に何を買ってあげていたのか
どんな夜を過ごしたのか

思い出せません。

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次回の「店長story 16」
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辛いことも多かったですが、
自分の人生の舵取りをする為に
必要な経験をたくさんしたと思います。

この店長STORYは
昔の暗い話ばかりが続きますが

読んだ感想や応援メッセージを
頂けると嬉しいです(^^)

たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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