店長story 6《水産加工会社社長》

更新日:2019.02.06

〇前回までの店長story 5はこちら

2012年、夏の終わり

札幌の弁護士に相談してから、
将来的に成長していく
見通しのないものを廃止したり

在庫整理の為の
帳面づくり等をしていました。

うちがこうなる数年前から
道南にある水産加工会社は
勢いがなくなり
数件倒産していました。

どこも同じように
苦しい状況が続いていたのです。

札幌から戻った数日後に
同じ加工業者の社長と
会うことになりました。

社長室に入るなり、

「おめぇら、なしたのよっ💢!!」

罵声で、やられました。
ほんと、田舎の親父は訛ってて、
口が悪い(-“-)

「ほんずねぇなっ。
銀行の言いなり。能無し。

なんも考えねぇで、
たんだ大きくしちまって。

ほんとばかだよ~
おめんどごはっ!!」

初対面でこれかいっ!!(-“-)

このクソ親父めっ!!!

会社について自分も
そう思ってたけど、
他人に言われると、

むかつく~( ̄▽ ̄)。

実は、小さい町にいながら、
この時初めて社長に会いました。

六畳一間の畳の部屋(一応社長室)で
小さなちゃぶ台を挟み、
一対一の勝負!?

なぜか口悪社長と私、
けんか腰で話がスタートしましたっ。

初対面ですが、
遠慮はしないと決めました(笑)

毎年秋以降の水揚げが多い時期は
一日でお金が億単位で動くために

前もって融資を受けながら
鮮魚を買い付けていましたが、
もう今年から打ち切られてしまいます。

鮮魚を買うと、ぎょれんへの支払いは
数日後と超タイトの為支払いが出来ないと、
すぐに「取引停止」命令が浜に出され
商売が出来なくなります。

そして担保としていた定期預金も
支払いが滞った分として
没収されます。

一瞬で飛びます。
全てがストップします。

冷蔵庫や冷凍庫、
その他設備の電気代だけでも
月に数百万。

北電に支払わないと
すぐに電気をストップ
されてしまいます。

庫内に保管してある商品は
すぐに不良品になります。

会社は浜のすぐ目の前と
小高い山に分かれてあります。

山の方には事務所・外国人社員寮
冷蔵冷凍庫・加工場など
大きな建物がありますが、
それを回していくだけの
余裕はもうないです。

もう、本当におしまいです。

どうすればいいんだろう・・・

これからの時代、
もう昔のような漁を望めない。

どこかで区切りを
打たないとダメだ。

早く決断しろ。

町内への支払いを優先しろ。

早く動け。

自分がしゃべっていたのか、
社長がしゃべっていたのか。

「ほんと、
 何もかもクソったれっすよ!!!」

初対面の社長に対して
愚痴を吐きながら、
やるべきことを再確認しました。

帰り際に、

「おめぇ、しっかりやれよ」

と、ひと言、言われました。

言葉にできず、心の中で、
「社長、ありがとう。」
と言いました。

このままでは資金が
ショートして身動きが
取れなくなる。

メイン銀行にもう一度、
最後にもう一度融資をお願いして、
魚を買って、商売が出来るように

、、、、なりたい。
どんなに小さくなっても。

この浜でずっと、
仕事ができるように。

この浜でずっと、
父が軽トラに乗って
走れるように。

この南茅部の浜で、
いつも目にする景色を
失いたくなかったです。

この浜でずっと続いている、
リ丁(屋号)を
存続させたかったです。

駄目になるならなるで、
取引先に未払いを残さず
従業員への給料払いを
済ませてからじゃないと。

駄目になる前に
次の生きる道を探さないと。

この頃から、
いろいろ覚悟し始めました。

ただ、最後にもう一度、
ダメ元でもメイン銀行に
お願いしないと。。。

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次回の「店長story 7」
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店長STORY一覧は こちら

辛いことも多かったですが、
自分の人生の舵取りをする為に
必要な経験をたくさんしたと思います。

この店長STORYは
昔の暗い話ばかりが続きますが

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たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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