50年前、菅さんに恋をしたある漁師の物語 3

更新日:2020.11.29
 
 

昭和40年(西暦1965年)、

初めて恋に落ちた忠男に、
突然悲しい別れがやってきました。

菅先生は忠男の住む町から離れ
転勤することになったのです。

友人の守やもう一人の友人勇夫からも
励まされ、忠男は勇気をもって告白しました。

・・・しかし、、、振られてしまいました。

忠男、無念です。初めての苦いどうしようもない悲しみでした。

そしてしばらくして先生は
道南の違う町へと引っ越していきました。
忠男は忘れられませんでした。

「もう一回、菅先生の顔を見てぇ」

一人では不安だった忠男は
守と勇夫にお願いして一緒について来てもらうことにしました。
前浜で上がった新鮮な魚を軽トラに乗せて。

久しぶりの再会でした。

先生の顔を見た忠男は嬉しかったです。とても嬉しかったです。

(おら、先生が好きだぁ・・・)

しかし、恥ずかしさでうまく話すこともできず
ただ魚を渡すだけで精いっぱいでした。

忠男は先生の可愛い笑顔を見ながら、
自分は歯を食いしばりながら
ゆっくりと、ゆっくりと、ドアを閉めました。

(さいなら、先生・・・)

尾札部に戻ると勇夫の奥さんが待っていました。
勇夫はつい面白がって奥さんにあれこれと忠男の失恋話をしました。

「あほでねぇが!?三人して何やってんのよ!?
まぁだ魚ばただでやって。家のごと考えろっ!!!」

友人の奥さんに叱られ忠男の恋は、
はかなく、静かに終わりました。


・・
・・・

「いるがぁ~?」

2020年9月のある日、

遅めのお昼ご飯を食べていると
近所に住む漁師のおじさんが、
缶ビール1箱を抱えてやってきました。

「これ父さんに渡してけれ。 50年前のお礼だぁ」

「50年前って? お礼って?なしたのおじさん!?」

「菅さんが総理になったべ。それテレビで見て思い出したのよ。
おら、若えごろ、菅さんの姉さんば好きになっでよ。

ほんで、父さんに世話になったのば、思い出したんだ。

懐かしくでよ・・・」

!!!

おじさんは今も前浜でタコ獲りを続けています。

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今回は小さめのようです。

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長靴に吸盤でくっつくタコと一緒に家に帰るおじさん(忠男)でした。

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おしまい

たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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