店長story40 《刺客》

更新日:2022.11.14

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「とても良い商品だから売らせてほしい。」

そう言って、三人の男が現れました。

一人目の男とは東京の商談会で会いました。

すぐに欲しいと言われたので商品を代金引換で送ったら、すごい剣幕で怒られました。

次に約20万円分の商品を後払いという事で送りました。

しばらくして、その男とは電話が繋がらなくなりました。

二人目は高そうなスーツを着て、タクシーで会社までやってきました。

虎屋の羊羹詰め合わせをお土産に。


とても大きな商売の話ばかりをしていました。

最後にホタテを数トン欲しいという事だったので、「初回は少量を先払い」という事を提案しました。

初回だけサンプル程度に注文が来たので、ホタテを仕入れて売りました。

商品が良かったという事で次に大量注文が来ました。

先払いをお願いすると、その後の注文はありませんでした。

三人目は電話でした。

また、大きなもうけ話をされました。

HPで会社情報を見ると、うさん臭かったので先払いでしか取引はしないことを伝えました。

こんなことが立て続けにあったので、お付き合いをしていた税理士の先生に相談しました。

「申し立ての文章を考えてあげましょう。」

数日後、4ページに渡る格式ばった文章が綴られた書類を渡されました。

「この書類を先方に送って、対応してもらいなさい」

私はすぐに一人目の男の事務所へ送付しました。

しかし返事は一切ありませんでした。

これは騙されたともうあきらめるしかありません。

しばらくして、税理士の先生から請求書が届きました。

請求金額:14万円



親切な対応をしてくれていると勝手に思い込み、そのような高額を請求されるとは思ってもみませんでした。

どうして先に費用が発生することを伝えてくれなかったのか。


そんなにするなら頼まなかった。

相場はそんなものなのだろうか。

力が抜けました。

落穽下石


続けざまに標的にされる自分の中に、どんな非があるのだろうか。

答えは明白です。

世間知らずで商売というものを軽く見ていた私の甘さが原因です。


夜ふと見た鏡に映る顔には、福がやってくる兆しは見えませんでした。



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たまえ店長

能戸たまえ(店長)です。 昆布の魅力にハマり、美味しくて体に良い昆布を広める活動に人生を捧げる。 趣味:旅行、水泳、ピアノ、散歩  四姉妹の母

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