店長story40 《刺客》
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「とても良い商品だから売らせてほしい。」
そう言って、三人の男が現れました。
一人目の男とは東京の商談会で会いました。
すぐに欲しいと言われたので商品を代金引換で送ったら、すごい剣幕で怒られました。
次に約20万円分の商品を後払いという事で送りました。
しばらくして、その男とは電話が繋がらなくなりました。
二人目は高そうなスーツを着て、タクシーで会社までやってきました。
虎屋の羊羹詰め合わせをお土産に。
とても大きな商売の話ばかりをしていました。
最後にホタテを数トン欲しいという事だったので、「初回は少量を先払い」という事を提案しました。
初回だけサンプル程度に注文が来たので、ホタテを仕入れて売りました。
商品が良かったという事で次に大量注文が来ました。
先払いをお願いすると、その後の注文はありませんでした。
三人目は電話でした。
また、大きなもうけ話をされました。
HPで会社情報を見ると、うさん臭かったので先払いでしか取引はしないことを伝えました。
こんなことが立て続けにあったので、お付き合いをしていた税理士の先生に相談しました。
「申し立ての文章を考えてあげましょう。」
数日後、4ページに渡る格式ばった文章が綴られた書類を渡されました。
「この書類を先方に送って、対応してもらいなさい」
私はすぐに一人目の男の事務所へ送付しました。
しかし返事は一切ありませんでした。
これは騙されたともうあきらめるしかありません。
しばらくして、税理士の先生から請求書が届きました。
請求金額:14万円
親切な対応をしてくれていると勝手に思い込み、そのような高額を請求されるとは思ってもみませんでした。
どうして先に費用が発生することを伝えてくれなかったのか。
そんなにするなら頼まなかった。
相場はそんなものなのだろうか。
力が抜けました。
落穽下石
続けざまに標的にされる自分の中に、どんな非があるのだろうか。
答えは明白です。
世間知らずで商売というものを軽く見ていた私の甘さが原因です。
夜ふと見た鏡に映る顔には、福がやってくる兆しは見えませんでした。
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